前回までのあらすじ
副理事長に就任して早々、管理費赤字と値上げ提案のダブルパンチを受けた私。
眠気と闘いながら契約書と規約を読み解き、現地調査に乗り出した結果、管理人の勤務実態に赤字の兆候を発見!
過去の収支計算書を分析したところ、 増え続ける支出、駐車場使用料の不安定な収入、 中身が見えない管理委託料…と、マンション管理費会計が危機的状況にあることが判明。
「管理会社に任せていれば安心」そう思っていたけれど、どうやら違うらしい。
国交省を盾にする管理会社の説明を鵜呑みにしていたことが、問題の本質なのかもしれない。
このままではいけない。裏を取らなければいけないところまで来ている。――そう感じていた。
まだ、お読みになってない、もう一度読みたいという方は、こちらをクリックしてご覧ください。

管理会社と理事会の関係を理解する|マンション管理の基本構造
管理会社と理事会の関係性をご存じない方は、こちらの記事をご覧いただくことで、今回の内容がスッと分かりやすくなります。
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管理会社の数字トリック|平米単価と赤字ロジックの真相
国交省を盾にする管理会社の説明は、本当に正しいのでしょうか?
マンション管理費の実態|国交省の平均単価177円の基準は妥当か?
管理会社からは、「値上げのほか道はない」と説明がありました。
- あらゆる費用削減を行ってきたが、万策尽きた
- 国交省が発表している『平成30年度マンション総合調査』では、20戸以下の管理費(月額)の平米単価の平均値は177円
- 当マンションの平米単価は177円よりも安いため、赤字になるのは仕方がない

平米単価からの管理費の求め方って知ってる?仮に70㎡に住んでる場合の管理費(月額)は『70㎡×平米単価177円=12,390円』になんねん。これはあくまで 『駐車場とかの使用料を除いた単価』ってこと、忘れんといてな。



多くのマンションが、広さに応じて管理費を負担してるから、小さい部屋やと安くなる。仮に50㎡なら『50×177=8,850円』な。
国交省調査の前提|駐車場使用料の扱いと平米単価の真実
国土交通省発表『平成30年度マンション総合調査』を確認します。
確かに、『20戸以下の平米単価の平均値は177円』とあり、嘘ではありません。
しかし、大切な一文『使用料・専用使用料からの充当額を除く』の説明がありません。



ピンときた?
この『使用料』には、駐車場・バイク置き場・自転車置き場の使用料が含まれ、使用料を、『管理費”会計”の収入』にするか、『修繕積立金”会計”の収入』にするかは、マンションにより異なっています。



ややこしいよな?理事会は2つの財布を持ってるってイメージ。で、それぞれに、『管理費会計』・『修繕積立金会計』って名前をつけて管理してる。日々の暮らしに使っていい財布が、『管理費会計』。将来、修理するときまで貯め続ける財布が、『修繕積立金会計』。



サラリーマン家庭に置き換えると…。『月給(管理費)』は日々の生活で使い切って、『ボーナス(修繕積立金)』は全額老後資金にするって『人(理事会)』がおるとする。その人が、ボーナスを日々の生活で使い込んで、老後になって困らんように財布を分けてるって感じかな。さらに、この人が資産家で、不動産を持ってたとする。『家賃(駐車場使用料)』が入ってきても、いつか屋根・外壁の修理は必要になるし、空き家リスクもある。だから、日々の生活で使ってしまわんように『老後資金を貯める財布(修繕積立金”会計”)』に入れる堅実タイプか、何とかなるやろうって『日々の生活に使ってしまう財布(管理費”会計”)』に入れるお気楽タイプかは、理事会によって違うってイメージかな。
つまり、この『総合調査を盾に、当マンションの管理費の平米単価が安い』と言い切ることは出来ないのです。



ネット立ち上げて、10分もせんうちに裏取れたな。
そして、国土交通省は別にガイドラインも出しており、駐車場使用料は将来の修繕のために『修繕積立金”会計”の収入』として、積み立てることを推奨していました。
当マンションは、駐車場使用料のすべてを『管理費”会計”の収入』としていますから、改善した方が良さそうです。



いざ修繕となったときに資金不足やと、『車が必要な人は修繕したいけど、車が不要な人は修繕反対で揉める』って、よく聞くもんな。国交省は、「揉めんように積み立てとき」って言ってんやろな。そりゃ、そやな。



こんな簡単に取れる裏を取らない理事会の足元を見て、管理会社はやりたい放題やな。
国交省ロジックの誤用|都合のいい部分だけを語る管理会社
国交省の推奨と実態のギャップ|理事会が取るべき対応策
仮に、駐車場使用料を国土交通省の推奨どおり、すべて修繕積立金”会計”の収入にした場合を考えてみます。
管理費vs修繕積立金|収入配分と駐車場使用料の影響
値上げを提案されたときの、収入の配分を確認します。
住民から集める毎月の『管理費』と『修繕積立金』の収入合計を100とした場合、『管理費』と『修繕積立金』の割合は『34:66』でした。
値上げを提案されていた時、駐車場使用料を含めた毎月の収入は『管理費34+修繕積立金66+駐車場使用料16=収入116』です。
管理費”会計”は、『管理費34+駐車場使用料16=50』になります。
修繕積立金”会計”は、『修繕積立金66+駐車場使用料0=66』です。



管理費”会計”50:修繕積立金”会計”66、つまり毎月の収入のうち43%は管理費”会計”で使い切ってしまって、57%を将来の修繕として修繕積立金”会計”で積み立てていくってことね。
国交省ガイドラインに基づく管理費構造|駐車場使用料の扱い
国交省が推す『管理費』のかたちを求めてみます。
駐車場使用料を、管理費”会計”から修繕積立金”会計”の収入へ変更します。
管理費”会計”は、『管理費34+駐車場使用料0=34』になります。
修繕積立金”会計”は、『修繕積立金66+駐車場使用料16=82』になります。



駐車場使用料を修繕積立金”会計”へ変更しただけやったら、管理費”会計”は毎年ガッツリ赤字になるやんか。



そら、『駐車場使用料』を修繕積立金”会計”へ振り替えたんやから、振り替えた分と同額の『修繕積立金』を、修繕積立金”会計”から管理費”会計”へ振り替え直しが必要ちゃう?
平米単価再計算で判明|管理会社の説明との矛盾点
『管理費』と『修繕積立金』の平米単価を見直して、バランスを戻します。
駐車場使用料をすべて修繕積立金”会計”の収入に振り替えると、管理費”会計”の収入が大きく落ち込み、修繕積立金”会計”は大きく膨らむことになります。
それを変更前の水準、管理費”会計”43%、修繕積立金”会計”57%へ戻すには、それぞれの平米単価を見直さなければいけません。
平米単価は、『管理費』=旧34→新51、『修繕積立金』=旧66→新49、になります。



平米単価を見直したら、管理会社が言ってた177円よりも、『遥かに高い単価』になってんねんけど?あいつらホンマに。



国土交通省を盾にするのは、理事会やないか!その『177円の盾』、こっちへ寄こせ!ちゃーんと詰めたる!
盾を奪取すると息巻いたはいいものの、本当に使い物になる盾なのか。
素人が、ネットでチャチャっと調べただけの見解は正しいのか。
プロのお墨付きが欲しいところです。



プロって誰なん?



真面目人間を怒らせたら怖いな。次はプロを探し出してくる気やもん。
本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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