前回までのあらすじ
赤字改善に向けて『理事会だより』と『アンケート』を配付。
提出率は驚異の84%で、住民の本音が多数集まり、管理費抑制を求める声が目立った。
自由記述では、管理会社への不信感や生活マナーの課題も浮上。
これらの声をもとに、情報共有とルール整備を軸にした改善方針へ、理事会をどう導くか——副理事長の奮闘は続く。
こちらの奮闘記は続きモノです。前回が気になる方はこちらをクリックしてご覧ください。

管理会社と理事会の関係を理解する|マンション管理の基本構造
管理会社や理事会についてご存知ない方は、こちらの記事をご覧ください。
管理会社と理事会の関係性がスッと理解でき、今回の内容が分かりやすくなります。
ぜひ、クリックしてご覧ください。

理事会改革の心理戦|協力せざるを得ない状況の作り方
マンション管理費の赤字脱却には、理事会が一枚岩にならなければいけません。
しかし、『骨折り損のくたびれ儲け』になるくらいなら、努力したくないのが人間ではないでしょうか?

理事会メンバーでも、『知らん人』からのスタートやもんな。さらに億劫になるよな。
だからと言って何もしなければ、管理費は青天井で上がりそうです。
仕方がないので、『骨折り損のくたびれ儲け』を払拭するところまで、一手に引き受けました。
『ここまでしてもらって、協力しないわけにはいかない』と、相手が思ってくれたら大成功という算段です。



ここまでしても、『協力しないで平気な人』はおる。それを考えだしたら腹立つから、気にせーへん。その代わり、相談されても『そうですよね。どうしたら良いと思います?今度、理事会に来て、その内容を発言してもらえません?みんなで考えたら、いい考えが出るかもしれませんし。』って言ってスルーやな。



『自分で動く大変さ』を知ってもらわんと話ならん。他力本願なんて甘い考えは、通用させたらアカンと思う。
そんなわけで、今までの結果を報告し、『赤字脱却できる可能性は高い』ことに気づいてもらいます。
そもそも値上げ反対派だけで構成されています。
労力は無駄にならないと思ってもらえたら、一枚岩になるはずです。
孤軍奮闘1|管理士の見解で管理費の妥当性を検証
もっとも大きな割合を占める経費は人件費ですから、管理人の勤務時間を減らせると赤字解消に向けて大きく前進することを説明。
つぎに、『万策尽きたし、もともと徴収している管理費の水準が安いため、値上げは仕方ない』という管理会社の説明は、不適切であったことも説明します。



ここで、プロであるマンション管理士の意見をドーンと出す!
- 管理人の勤務時間は、他のマンションと比べて長い
- 当マンションの管理費の平米単価は、『他のマンションと比べて安いため、値上げとなるのは仕方がない』とは言い切れない



「市がやってる相談会やから、マンション管理士への相談料は無料なんです♪『平日しかやってないから有給休暇とらなアカンってのがネック』なんですけどねー」言うて。『わざわざ会社休んで、頑張ったんやでアピール』して、協力せざるを得ない環境を整えていく。
マンション管理士は、他にも見解を述べてくれました。
詳しくお知りになりたい方は、こちらもどうぞ。とても勉強になります。


「平米単価って何?大事なの?」という方は、こちらで詳しく紹介しています。
知っていて損はありませんから、ぜひご覧ください。


孤軍奮闘2|管理人の勤務実態を視察し削減可能性を確認
『人件費を削減するにしても、どれくらい削減できるの?』という疑問は、当然でてきます。
そこで、『管理人の働き方も視察し、今の3分の2の時間に削減できそうだ』ということを伝えます。



「管理人は、平日しか来ないんで、こないだ有給休暇とって見学してきたんですー。」言うて。さらに協力せざるを得ない環境を整える!



こらまた、いやらしい戦法でんな!
管理人の働き方をご存知ない方は、見学することで過剰清掃などの無駄を効率化できるかもしれません。
当マンションのように、目も当てられない状況になっていては、大切なお金をドブに捨てているのと同じです。
赤字解消の大きなポイントだった視察の様子は、こちらをご覧ください。





当マンションは管理人が清掃を兼務してるで。小さなマンションは、管理人と清掃者が別なら、一人で兼務できるか調べてみると良いかもね。
孤軍奮闘3|植栽管理の相見積もりでコスト差を可視化
植栽管理の相見積もりに挑戦したら、管理会社の見積もり額は1.44倍も高かったことを報告します。



「相見積もり取るのも、通勤の電車でスマホで調べて依頼できるんで、簡単でしたよ。ただ、植栽管理してもらう場所の案内に、有給休暇とらないとダメなのがネックなんですけどねー」言うて。



めちゃめちゃ有給休暇とってんな。忙しかったはずやけどな。為せば成るもんやな。まだまだ、協力せざるを得ない環境を、しつこく整える!
戸建てと違い、マンションならではの周知も必要ですが、簡単です。
こちらをご覧になって、ぜひ挑戦してみて下さい。
「植栽管理の相見積もりで、そんなこと起きんの?!」という珍しい事態に陥っていますが、皆さんは大丈夫だと思います。


孤軍奮闘4|アンケート結果から住民の本音を分析
84%の回収率を誇るアンケート結果を報告します。
- 管理費の値上げを受け入れ、管理会社に任せたいという意見は無かった
- 管理費の値上げに、提出者の全員が反対していた
自由記入欄には、大きく2つのことが書かれていました。
- 管理会社の信頼性
- 住民マナーの徹底



みんなの意見は、ほぼ同じ方向やったわ。まとめやすくて助かった!
赤字解消の検証|費用削減と予算再計算で勝算を提示
孤軍奮闘の報告を終えた段階で、理事長・会計担当理事から、感謝と賛辞の言葉を頂きました。



ものすごい感謝と賛辞やったな。『面倒なことを始めて』と思われる可能性もあったから安心したわ。良い人達でよかった。
ここからは、『赤字解消の勝算』を鼻先にぶら下げ、さらに奮い立っていただきます。
管理人の勤務時間を減らし費用削減|契約書ベースで試算
勤務時間を3分の2に減らすといういことは、3分の1の金額を削減できるということになります。
それにより、どれくらい削減できるかは目の前で計算して見せました。
1.管理委託契約書の『別紙一 定額委託業務費明細』にある、『二 管理業務費 ア 管理員』の月額費用(税抜)を確認
2.月額費用(税抜)÷3×12カ月×消費税=管理員費用の年間削減見込額



削減できる金額については、「管理委託契約書がコレで、別紙一がコレで、金額がコレやから…」って、実際に1つ1つ見せながらやった。具体的に見てもらったら、各自で出来るようになるやん?
植栽管理の相見積もりによる削減額|見積書比較で明確化
こちらも、削減できる金額を、目の前で計算してみせます。
1.管理会社からの見積額を確認
2.管理会社からの見積額ー理事会で取得した見積額=植栽費用の年間削減見込額



もちろんコレも、「管理会社からの見積書がコレで、相見積もり取ったのがコレで…」って現物を見せながらやった。
赤字予算の照合|収支と削減額で黒字化を検証
こちらも実際に、目の前で計算してみせます。
1.直近の総会資料の『管理費会計の収支予算案の予算額の剰余金合計』のマイナス額を確認します。
2.『管理人の年間削減見込額+植栽の年間削減見込額=年間の費用削減見込額』を求めます。
3.『マイナスとなっている予算額の剰余金合計+年間の費用削減見込額』がゼロより大きくなれば、赤字解消です。
残念ながら、当マンションはゼロより大きくなりませんでした。
しかし、2~3年後には赤字解消になる計算でした。



当年度で赤字解消したかったけど、会計年度の期間と、管理会社との管理委託契約の期間がズレてるから無理やった。管理人の費用が下がるのは、早くても次の契約更新からになる。契約更新は、数カ月先やからら仕方ないねんな。



奮闘初年は単年度赤字を30%程度減らせたけど黒字化ならず。翌年に単年度黒字にはなったものの、繰越の赤字を解消できず。翌々年には、単年度黒字は拡大、繰越の赤字も晴れて解消した♪ちなみに、効率化は他にもしてるからね。黒字化は、ここに書いてるだけじゃないけど、ここに書いてる成果がデカかった。
赤字脱却の光が見えて理事会は一枚岩になった|資料提示で信頼構築
実際に目の前で、1つ1つ資料を広げ、金額を確認し、電卓を叩いて見せた効果は絶大です。



スゴいですね!なんで、そんなこと出来るの?!それに管理会社は、何してるんでしょうね。



みんな喜ぶと思いますわ。色々と動いてもらって、ほんま、ありがとうございます!
純粋な笑顔で盛り上がってくれている隣で、一人ほくそ笑んでいるのはごましおでした。



よしよしよし。これで、よっぽどの事がないかぎり協力してくれそうや♪ええ人達が揃ってるメンバーで良かった。
まだまだ油断はできない|今後の課題とリスクへの備え
盛り上がっている最中ですが、まだまだ油断はできません。
気づけていない費用|特定建築物定期調査のような数年おきの支出を見落とすな
現段階で気づけていない費用があるかもしれません。



管理会社に質問して、洗い出していかなアカンな。
火災保険更新の盲点|管理会社任せのリスクと対策
自然災害が多発していて、火災保険が頻繁に値上がりしています。
来年更新予定の火災保険を管理会社に任せたままでは、おそらく赤字へ再転落するでしょう。



内容の見直しまで、手を付けられへん場合でも、相見積もりは必須でした方がいいやろな。
管理人のサボり問題|管理者責任を追及
勤務時間内に、勝手に1時間も休憩しています。
アンケートでも、管理人へのクレームが来ていますから、このまま放っておくことはできません。



今は、スペシャルに素敵な管理人さんが来てくれてる。住民一同、今の管理人さんにメロメロ♪
せっかく一枚岩になれましたから、この岩を砕かないよう気をつけながら情報共有していきます。



喜んではるけど、これからは労力も出してもらわなアカン。どうなんねやろ?でも、みんなで乗り越えなアカンから、一緒に頑張ってもらう!
本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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